チェキ:メイド喫茶に欠かせない「第三の主役」

メイド喫茶の「主役」というと誰が何が一番に想像できるでしょう?
やはりメイドさんでしょうか?
確かにメイドさんなしにはメイドカフェは成り立ちません。「主役」である事に間違いはない
と思います。
では「ご主人様」「お嬢様」は?
「ご主人様」「お嬢様」もメイド喫茶を構成する要素として欠かせない存在と言えると思います。
どちらも正解であると言えると思います。
私は更に「第三の主役」と言える存在を挙げようと思います。
それはメイド喫茶での思い出作りに欠かせないサービス、「チェキ」です。
記念写真であるだけにとどまらず、メイド喫茶の“非日常のファンタジー”の空間や”癒し”の空間、また舞台の一幕のような空間を切り取り、形として残してくれます。またチェキの落書きやメッセージを描く時間はメイドさんと「ご主人様」「お嬢様」との貴重なコミュニケーションの場にもなる、メイド喫茶の文化を語るうえで欠かせない「主役」と言える存在と言えるのではないかと思います。
今回は、チェキの歴史やその魅力や撮影の楽しさまで、メイドカフェを楽しむ上で知っておきたい情報をご紹介します。

チェキとは?

チェキとは、端的に言うとインスタントカメラで撮影した写真をその場で現像してご主人様、お嬢様にお渡しするサービスです。
メイド喫茶では、ご主人様またはお嬢様とメイドさんが一緒に写真を撮るツーショット、或いはメイドさんのみのソロショットやメイドさん同士のツーショットなどを記念品として持ち帰ることができます。
一般的なチェキの撮影サービスの流れは以下のようになります。
①ご主人様、お嬢様(お客様)がチェキの撮影を希望することをメイドさんに伝えます。
②次に撮影場所やポーズなどを相談し、メイドさんや時には妖精さん(メイドさん以外のメイド喫茶のスタッフの事をしばしばこう呼びます)がインスタントカメラで撮影をしてくれます。
③写真にメイドさんがメッセージやイラストを書き込み、最後にご主人様、お嬢様へお渡し

料金は店舗によって異なりますが、1枚あたり800円から1,300円程度が相場で、お店によりやや幅があります。
初めてのご帰宅時(来店時)の食事や他のアミューズメントとセットで提供される事も多く、
いわばメイド喫茶定番のサービスと言えます。

チェキの名前の由来は?

 *「チェキ」という名前は、富士フイルム株式会社が1998年に発売したインスタントカメラ
「instax mini」シリーズの愛称から来ています。この愛称は「Check it 」(要チェック、注目!)という英語のフレーズに由来しています。
日本では正式な製品名の「インスタックス」より「チェキ」の愛称の方が知名度が高く親しまれているようです。海外では「インスタックス」として呼ばれる事が一般的なようですが、近年のインバウンドブームの中で「チェキ(Cheki)」という呼び方も海外からの観光客にも徐々に知られつつあるようです。
メイド喫茶では「チェキ」という呼び方が定着しており、メイドさんや妖精さん、ご主人様、お嬢様との間で「今日はチェキ撮ります?」「チェキお願いします」などという会話が交わされるのはおなじみの光景となっています。
固有名詞が普通名詞化する事は「それだけ普及している、定着している」象徴であると良く言われますが、メイド喫茶におけるチェキはその典型的な例と言えそうです。
開発した富士フイルムがこのような形でメイド喫茶で活用される事を想定していたのかは不明ですが、結果的に若い世代を中心にチェキ文化が再燃するきっかけの一つとなっているのは興味深い現象であると思います。
チェキにはいくつかのモデルがあります。代表的なモデルとしてシンプルで使いやすい「instax mini」より広角な撮影が可能な「instax wide」、さらに大きなサイズで撮影の出来る「instax square」などがあります。

チェキの歴史

チェキの歴史についても簡単に触れておきましょう。
チェキは1998年に富士フィルム株式会社より開発、発売されました。
デジタルカメラの登場でポラロイドカメラの市場が縮小する中、チェキはそのコンパクトさと操作の簡単さで人気を集めました。
現在では、グローバルなインスタントカメラブランドとして高い知名度を誇っています。
メイド喫茶でのチェキの撮影のサービスは、2000年代初頭に秋葉原で始まったようです。
当時のメイド喫茶は黎明期であり、現在ほどサービスは体系化されておらず、各店舗がサービスを試行錯誤していた時代でした。その中でメイドさんとご主人様、お嬢様との距離を縮めて特別感を演出する手段として、いくつかの先駆的な店舗がチェキサービスを導入したのが始まりのようです。
2005年頃には、秋葉原の主要なメイド喫茶の多くでチェキの撮影がサービスの一つとして提供されるようになり、メイド喫茶文化の一部として次第に定着をしていきました。
2010年代前後に入ると、メイド喫茶のチェキはさらに進んだサービスを提供するようになります。
撮影をした後に、メイドさんが写真にメッセージやイラストを描き込むサービスが一般的になりました。少し大げさな表現ですが、チェキが単なる写真から世界に一つだけのオリジナル作品へと昇華されたのが2010年代初めだったのではないかと思います。
現在では、チェキはメイド喫茶の標準的なサービスとして完全に定着しており、音声を録音出来るチェキを販売するお店もあるなど、さらなる発展を続けています。
メイド喫茶文化の成長と共に歩んできたチェキの歴史は、日本のサブカルチャーの側面を物語る貴重な記録と言えるでしょう。

 チェキの魅力

 チェキの最大の魅力は、デジタル時代では味わえない特別感のある体験にあります。
スマートフォンで何枚でも撮り直しができる現代において、一発勝負の面あるチェキは少しの緊張感と共に特別な瞬間を演出してくれます。
まず挙げられる魅力は、チェキならではのアナログな質感です。デジタル写真とは異なる独特の色合いや質感はノスタルジックな温かみを感じさせ、見るたびに撮影時の記憶を鮮明に蘇らせてくれます。また、時間の経過と共に色褪せていく様子も、アナログメディアならではの味わいとして楽しむことができるでしょう。
次に、メイドさんとのコミュニケーションツールとしての側面も重要な魅力です。
撮影後にメイドさんが写真にメッセージやイラストを描き込んで、その人だけの特別な思い出を作り上げてくれます。
チェキ撮影時ならではのメイドさんの表情やポーズを見ることが出来る事もあるでしょう。
お店によってはお絵描きやメッセージを描きこむ間にメイドさんと会話が出来る事もあり、それも
チェキ撮影の魅力の一つと言えます。
コレクション性がある点も見逃せない魅力の一つです。
定期的にメイド喫茶を訪れる方の中には、お気に入りのメイドさんとのチェキを収集している方も多く、アルバムやカードブックに整理して大切に保管されています。同じメイドさんでも、その時々の表情や衣装などの違いを楽しむことが出来ます。
さらに、チェキは手軽にプレゼントできる点も魅力的です。友人や家族に「メイド喫茶に行ってきた」という話と共にチェキを見せることで、その体験を共有することができます。また、メイドさんからのメッセージが書かれたチェキは、写真という枠を超えた価値のある記念品にもなり得ます。

チェキを撮る時の定番のポーズは?

 チェキ撮影において、ポーズ選びは写真の印象を大きく左右する重要な要素です。メイド喫茶でのチェキ撮影では、以下のようなポーズが特に人気で、素敵な写真を撮ることができます。

1.ハートポーズ
定番のポーズと言えるでしょう。
ご主人様、お嬢様(お客様)とメイドさんが手でハートを作るポーズで、2人の距離感が縮まる、温かみのある写真になります。片手ずつでハートを作る方法と、両手を合わせて大きなハートを作る方法があり、どちらも可愛らしい仕上がりになります。

2.「ピースサイン」
安定した人気を誇るポーズです。
シンプルでありながら明るい印象を与え、初めてチェキを撮る方にもおすすめです。メイドさんと同じタイミングでピースサインを出すことで、一体感のある構図になります。
撮影時のコツとして、表情は自然な笑顔を心がけることが大切です。緊張してしまう方も多いですが、メイドさんが上手にリードしてくれるので、リラックスして撮影に臨むことをおすすめします。また、メイドさんに「どんなポーズがいいですか?」と相談することで、その場の雰囲気に合った最適なポーズを提案してもらえます。

もちろん、上記のポーズだけに拘る必要はありません。
少しかしこまった感じで文字通り記念写真のように撮る事もそれはそれで素敵な思い出の一枚になると思います。またメイドさんと一緒にティーカップを持ってツーショットを撮ったり、イベントの際にはワイングラスを片手に一緒に撮影、などというように小さなアイテムを利用した一工夫のあるチェキを撮る事も可能です。ただアイテムを持った撮影が出来るかどうかはお店によってルールやガイドラインが異なりますので、事前に確認をとり、お店のルールやガイドラインを守りましょう。

まとめ

チェキはメイド喫茶文化において単なるオプションサービスを超えた「主役」として、重要な役割を果たしています。
インスタントカメラのブランド名から生まれた愛称が日本独特のサブカルチャーと結びつき、発展を遂げ、定着をした歴史は非常に興味深い現象ですね。
2000年代初頭の秋葉原から始まったチェキサービスは、現在では全国のメイド喫茶で提供される標準的なサービスとなり、より多くのご主人様、お嬢様に親しまれる存在になっています。
チェキにはデジタル時代だからこそ際立つアナログの魅力が詰まっているように思えます。
メイドさんとのコミュニケーションツールとして、思い出の形として、そしてコレクションアイテムとして、チェキは多面的な魅力を持っています。
一発勝負のちょっとした緊張感(あまり写りが良くないと撮り直しをしてくれるお店もありますが)と、手書きメッセージの温かみが融合したチェキはメイド喫茶ならではの体験を提供してくれます。
メイド喫茶を訪れた際は、チェキの撮影をまずは1枚いかがでしょうか?
デジタル写真では得られない特別な思い出を手に入れることができる良い機会となるでしょう。
また、是非チェキを通じてメイド喫茶の世界をより深く楽しんでいただければと思います。

*「チェキ」及び「instax」は富士フィルム株式会社の登録商標または商標です。

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